平成30年第2回定例議会一般質問
2018年6月30日
カテゴリ:区議会活動報告

6月27日の本会議において、一般質問に登壇しました。

質問の模様はこちらから 

今回は保護者の多様なライフスタイルに応じた 子育てができる環境の整備についてをテーマに、保育園、幼稚園、学童クラブの整備等について 質問をいたしました。

質疑の内容について記載します。

①0歳児の保育需要への対応策

 千代田区内の保育所は、区立保育園、認可保育園、こども園を合わせて、この10年間で定員数769人から2,297人へ約3倍増加しています。同様に子育て関連の予算額の推移を見ると、同じ10年間で年間約24億円から101億円へ4倍以上増えており、この分野へ積極的に投資が行われてきたという現状が見て取れると思います。さらに平成30年度は新たに280名、来年度中に160名程度、合わせて440名分の新設が決定しています。 しかしながら、この6月時点で特定園留保等の、希望する保育園に入ることができていない子どもの数は250名に上っており、依然として厳しい状況は解決しておりません。

 こうした中で、今年4月、千代田区では厚生労働省の基準で待機児童ゼロを達成したことがプレスリリースされ、新聞等で報道されました。この厚生労働省の基準で待機児童の状況を公表することには大きな問題があるということはこれまで議会において幾度となく指摘をしてきたところですが、待機児童がゼロであっても、希望する保育園に入園することができなかった子どもたちが250名以上いるという現実があり、その割合は保育園全定員の10%を超えています。その数は年々増加しており、新規の保育園開設が保育需要の増加に追いついていないということの裏づけとなっています。事実、昨年10月には10名の待機児童が発生するに至り、今年2月には21人まで増加していました。4月にそれは解消しましたが、半年間にわたり、待機児童がいたということであり、このような状況があっても、4月だけ待機児童がゼロであれば、千代田区の待機児童はゼロを達成したということで、積極的にプレスリリースが行われる。これに違和感を覚えるのは私だけではないと思います。 今年2月に21名まで膨らんでしまった待機児童は全て0歳児であり、同時期の留保者数251名のうち、80%を超える206名が0歳児となっています。これは生まれてからすぐに復職をしたいと考える保護者の方が多くなっているということだと考えられますが、千代田区ではその願いはかなわないというのが現状です。0歳児は、そもそも定員が少ない上、その年新たに子どもたちは0歳児として受け入れられることになり、実質2学年分の子どもを受け入れるキャパシティーが必要になるわけで、0歳児に待機児童が集中することは必然です。

 千代田区では、保育需要の増加スピードが速く、現在、保育施設に余裕はありません。待機児童の状況は現在も引き続きゼロとなっていますが、今年4月以降に新たに生まれた子どもたちの入園申し込みが可能となる6月以降、順次0歳児の入園申し込みが増えていきます。こうした状況が昨年10月以降の待機児童発生につながったと記憶をしています。 区では、このような状況をどのように認識し、短期的に今年の秋から来年の春にかけて増える 歳児の保育需要に対してどのような対策を検討しているのか?

【答弁】

 0歳児の定員は今年9月に二番町で開設する保育園で12名増え、0歳児の保育需要に応えることが可能となります。また、居宅訪問型保育事業については、現在、定員数は25名で利用園児は25名であるため、定員数を増やすことを事業者と現在協議中です。これによって、保育をどうしても利用したいとお考えの保護者の方々の需要に対して対応していきたいと考えております。

②区立幼稚園の定員状況について

 区内には6つの区立幼稚園と2つの区立こども園があり、全体の定員は1学年当たり1 75名前後となっています。一方で、保育園と違い、それぞれの幼稚園には通園区域が定められており、新3歳児クラスの入園希望は、11月中旬に申し込みをし、11月の下旬には 結果が保護者に通達されています。近年、子どもの人数が増えているため、保育園同様に幼稚園 でもなかなか希望どおりにはいかないというケースが散見されるようになりました。

 昨年は、11月の一次募集時の発表で24名の新3歳児がそれぞれ希望する区立幼稚園の定員枠に入れず、その時点で区立幼稚園に入園することができないとの旨の連絡が保護者に行くこと になりました。こうした場合、次に通園区域外にある区立の別の園に申し込みをするか、もしくは私立の幼稚園への入園を希望することになりますが、いずれにせよ、保護者の立場からすると、 子どもの行く幼稚園が決まらないという非常に不安な日々を過ごすことになります。 その後、保育園への入園決定やさまざまな調整により、順次入園先が決まっていきますが、今年の新3歳児の幼稚園入園については、最終的に7名の子どもたちが当初区立の幼稚園の入園を 希望していながら、入ることができないという結果になってしまいました。

 このように、希望する区立幼稚園に入れない子どもが出てきているという現状を、区はどのよ うに認識をしているのでしょうか。区立幼稚園に入園を断られるという事態が発生したというこ とは重大な出来事と考えますが、いかがでしょうか。区立幼稚園の定員増は、簡単にすることはできません。今後の対策はどのように考えているのか?

【答弁】

 幼稚園は保育所と異なり、国の定めた 幼稚園設置基準により1学級の園児は35人以下で、かつ1学級につき1保育室が必要と定めら れております。そのため幼稚園の定員を増やすためには、定員35人未満の幼稚園の定員を見直 すか、学級数そのものを増やすことのどちらかの選択肢が考えられますが、本区の幼稚園は全て小学校の併設園で整備されており、保育室の増設工事は極めて困難です。 なお、幼稚園の新設には、園舎の整備だけではなく、園庭が必須要件となっており、地価が高 く、用地条件の厳しい本区では、幼稚園の新設は認可保育所よりも厳しい現状です。 こうした中、平成27年度、次世代育成支援計画を見直す中、幼稚園の需要数を再精査しつつ、 35人未満の設定の幼稚園の環境や園児に与える影響などを考慮し、区立幼稚園・こども園の定 員を平成28年度から平成30年度の間に合計35名を増やしたところです。また、保育園の需要も考慮しながら、平成28年4月に富士見地区に短時間保育と長時間保育を一緒に実施できる 区内初の保育所型認定こども園も開設しました。 今後とも保育園需要と幼稚園需要を勘案し、保育所型認定こども園の整備を検討しながら、計 画的な保育所定員の拡充に取り組んでまいります。

③学童クラブの状況について

  区内学童クラブについても、ここ数年、定員を増やしてきていることに より、待機児童は発生してきておりません。状況を見てみると、4月1日現在、定員数974名に対して在籍者数は1,019名となっており、ある程度弾力性を持った柔軟な運用により児童の受け入れが可能となっていますが、昨年から今年にかけて、44名利用者が増えており、学童クラブも、保育園同様、受け入れ可能な定員数を拡大することが急務となっています。 近年、学童クラブの需要が増えた要因の1つに、高学年児童の利用率が高まってきたことが挙 げられます。千代田区では、学童クラブを開設した昭和62年から6年生までの受け入れを行っ てきましたが、当初利用者数は少なく、平成23年度でも高学年の児童の学童クラブの在籍率は 8%でしたが、今年は26%まで増えています。この変化は 77 今年4月に「麹町こどもクラブ」が開園しました。オフィスビルの中につくられた施設ですが、 限られた広さの土地しかない千代田区で新たな施設を開設するとなると、今後もこうしたオフィ スビル内につくられるケースは増えてくると考えられます。賃貸ビル内に開設された場合、その クラブの運営に課題などが発生した場合、それがハード面に起因するようなものであれば、なか なか簡単に改善することができないということも想定できます。運営事業者に任せることなく区 がしっかりと責任を持って対処し、区内の民設クラブとの情報共有を徹底して行っていく必要が あるのではないでしょうか。 また、高学年、低学年 を切り分けて対策を考えていくということも必要と考えますが、区の見解は?

  平成28年第1回定例会の一般質問において、学童クラブの中抜けのニーズが高まっているこ とについて質問をいたしました。その際の答弁では、「保護者から中抜け後の学童クラブへの再 入室について要望があることは把握しており、児童の安全確保を第一義に、取り得る手段につい て検討していく」とのことでした。その後の検討状況はどのようになっていますでしょうか。習 い事等による中抜け後の再入室に対するニーズは、引き続き高いものと考えております。また、 4年生以上の高学年児童の利用が増えていることからも、個別の状況をそれぞれ精査、勘案しな がら、相談の上、許可をしてもよいのではないかと考えます。区の見解は?

【答弁】

 本区は子育て世代の転入増加 など、社会情勢の変化により、今後も学童クラブの入会希望者の増加が見込まれます。また、高学年の学童クラブ入会児童は増えており、高学年と低学年ではそれぞれに 成長の過程で放課後の過ごし方に違いがあります。現在、放課後子ども教室と学童クラブとの総 合的な運営を実施していますが、今後さらに発展させ、学校教育との連携強化を図り、高学年と 低学年の過ごし方など、行動パターンを踏まえた放課後子ども教室と学童クラブの総合的な運営 を検討し実施していきます。今後も引き続き、勤労世帯の児童の健全な成長を育み、適切な遊びや生活の場を提供する学童クラブの待機児童ゼロを維持していきます。

 次に、学童クラブの習い事等による中抜けについてのご質問ですが、学童クラブの意義である就労中のお子さんの安全な居場所を基本に、これまでのとおり、児童の安全を第一優先に考えることは変わらず、今後も検討してまいります。しかしながら、子どもを塾に通わせたいという保 護者からの声もたびたび耳にしているところです。 これらの状況を踏まえ、区は、高学年は自立に向けた取り組みの一環とし、低学年などは信頼できる大人が送り迎えをするなど、例外的措置として各学童クラブと保護者が十分に話し合い、保護者の責任のもとに、少しずつ実施に向けて取り組んでいる。