新公会計制度導入について千代田区の課題
2019年1月20日
カテゴリ:区議会活動報告

平成30年第4回定例会の一般質問で行った新公会計制度導入について少し解説しておきたいと思います。

 千代田区では平成29年度の決算から、統一的な基準によって複式簿記化された財務諸表が作成されることになりました。今回の決算で2回目の決算書作成が終わり、改めて今後の利活用について考えていかなければなりません。

各自治体が統一的な基準による財務諸表を作成することによる一番のメリットは、減価償却をコストとして把握できるようになったことです。また、民間企業と同じような財務諸表で決算が示されるので財務分析のノウハウが応用できるようになり、行政サービスに係る費用や自治体の財務状況など、さまざまな角度から分析がしやすくなりました。

特に、今後重要視していかなければならないのが、事業ごとのコストを正確に把握できるようにすることです。自治体の予算は議会に示され、議決を得なければいけない仕組みになっていますが、予算編成は複式簿記の決算書とリンクしていないため、減価償却や固定された人件費などが各事業に予算として乗らない形で示されます。そのため、予算では事業ごとの本当のコストが見えないままとなっているのが現状なのです。

今、小学校などの過去に整備したインフラを再整備しなければいけない時期が来ているなかで、消費税などの地方税の分配に見直しが行われているため、将来の財政運営に不透明な部分が大きくなってきています。そのため、予算策定の段階から適正なコストを把握し、5年・10年先の投資判断を的確に行っていくことの必要性は今まで以上に高くなってきています。そのためにこの複式簿記化された決算書を最大限活用していく必要があると私は考えています。

そのためには、まずは事業部別、また個別の事業ごとのコストを正確に算出できる仕組みを作り上げ、それを予算時にも示すことができるようにすること。それともう一つ、今は非常にわかりづらい決算書になってしまっているので、上場企業の決算書のように誰が見てもわかりやすい財務諸表を作ること。この2点が今すぐに取り組むべき課題と考えています。